ピアノを弾くとき、「姿勢が悪いかも?」と感じたことはありませんか?
猫背になったり、肩や腕に力が入りすぎたりすると、音がきれいに響かないだけでなく、腰や肩の痛みにつながってしまいます。
特に子どもの場合、正しい姿勢を身につけないまま練習を続けると、クセがついてしまうこともあります。
この記事では、ピアノを弾くときの正しい姿勢のポイントや、子どもと大人それぞれに合った工夫、よくあるNG姿勢や疲れないためのコツを分かりやすく紹介します。
これからピアノを始める方も、すでに練習している方も、ぜひ参考にしてくださいね!
ピアノの正しい姿勢とは?なぜ大切なのか
ピアノを弾くときの姿勢は、ただ「見た目をきれいにするため」だけではありません。実は、音の響きや弾きやすさ、さらには体の疲れやすさまで大きく関わっています。
姿勢が悪いと、肩や腰に力が入りすぎてしまい、長く弾くと体が痛くなったり、すぐに疲れてしまったりします。また、力が入りすぎると音が硬くなり、やさしい音を出すことがむずかしくなるのです。
逆に、正しい姿勢で座ると、体全体がリラックスして自然に弾けます。余計な力を使わないので、長い時間でも疲れにくく、音もきれいに伸びやかになります。
特に子どもの場合は、最初に身につけた姿勢がそのままクセになりやすいので、早いうちから正しい姿勢で練習することがとても大切です。
大人でも「弾きにくいな」と感じている人は、姿勢を見直すだけで驚くほど弾きやすくなることがあります。

ピアノ演奏の基本姿勢(大人も子どもも共通)
ピアノを弾くときは、まず 体をリラックスさせること が大切です。ガチガチに力を入れてしまうと、音がかたくなったり、すぐに疲れてしまいます。
ここでは、大人も子どもも同じように気をつけたい基本の姿勢を紹介します。
背すじはまっすぐ
背中は丸めず、イスにもたれかからず、まっすぐにします。でも、ピンと張りすぎず、自然に伸ばすイメージで座りましょう。
肩の力をぬく
肩に力が入ると、指も動きにくくなります。肩はストンと落とすようにして、楽にします。
腕と手首はなめらかに
腕や手首はかたくしないで、スムーズに動かせるようにしましょう。手首は少しだけ上にゆるやかにのせる感じです。
指は丸く
指はまっすぐにのばさず、ボールを軽くにぎるような形にします。そうすると、指先でしっかり鍵盤をおさえられます。
体の位置
体はピアノに近すぎても遠すぎても弾きにくくなります。手をのばしたときに、ひじが少し曲がるくらいの位置に座りましょう。
この基本姿勢を守ると、体に余計な力を入れずに、やさしい音や大きな音も自由に出せるようになります。毎日の練習のときに、まずは「背すじ・肩・腕・指」の4つをチェックする習慣をつけてみましょう。
椅子の座り方と足の位置の整え方
ピアノを気持ちよく弾くためには、どんな椅子にどう座るかもとても大切です。
椅子の高さや座る場所がちがうと、手や足に力が入りすぎたり、逆に弾きにくくなってしまいます。
椅子の高さ
椅子は「手が自然に鍵盤に届く高さ」に合わせます。
ひじがだいたい 鍵盤と同じくらいの高さ になるのが目安です。高すぎても低すぎても弾きにくいので、練習の前に調整してみましょう。
座る場所
椅子には深く座りすぎず、少し前の方 に腰かけます。深く座ると背中が丸まりやすく、手が自由に動かしにくくなってしまいます。
足の位置
足はしっかり床につけましょう。足がブラブラしていると体が安定せず、上半身にも余計な力が入ってしまいます。
子どもの場合
小さい子どもは足が床に届かないことがよくあります。そんなときは、足台や分厚い本 を置いて、足をつけられるようにしましょう。足が安定すると、体もまっすぐになって弾きやすくなります。
椅子と足の位置が整うと、体全体がリラックスしてピアノに向かえるようになります。毎回「椅子の高さ」「座る位置」「足の安定」をチェックするだけで、弾きやすさがぐんと変わりますよ。
子どもの姿勢を整える工夫
子どもがピアノを弾くときは、体がまだ小さいぶん、大人と同じように座るのはむずかしいことがあります。そこで、少し工夫をするだけで、無理なく正しい姿勢に近づけることができます。
足が床につかないときは足台を使う
小さな子どもは足が床に届かないことがよくあります。足がぶらぶらすると体が安定せず、姿勢がくずれてしまいます。
そんなときは、足台や分厚い本 を足元に置いてあげましょう。足がしっかり支えられると、背すじも自然にまっすぐになります。
椅子の高さを調整する
大人用の椅子だと高さが合わないことがあります。座ったときに、ひじが鍵盤と同じ高さ になるように、クッションをしいてあげるとよいです。
楽しく姿勢を身につける工夫
「背すじを伸ばして!」と何度も言われると、子どもはだんだんイヤになってしまうことがあります。そんなときは、ゲームのようにチェックする方法がおすすめです。
たとえば「今日は背すじチェック○点!」「肩ストンゲームしよう!」と声をかけると、楽しく姿勢を直せます。
長時間座らせない
子どもは集中できる時間が短いので、長く座らせると姿勢がくずれやすくなります。最初は5分、10分と短い時間から始めて、少しずつ伸ばしていくのがコツです。
子どもは体が成長している途中なので、最初に覚えた姿勢がクセになりやすいです。親子でいっしょに工夫して、楽しく・自然に正しい姿勢を身につけることを心がけましょう。
大人が気をつけたい姿勢のポイント
大人がピアノを弾くときも、姿勢はとても大事です。特にデスクワークなどで長い時間イスに座っている人は、体にクセがついていて、知らないうちに弾きにくい姿勢になっていることがあります。
ここでは、大人が気をつけたいポイントを紹介します。
猫背にならない
机の前かがみの姿勢がクセになっていると、ピアノを弾くときも猫背になりがちです。猫背だと呼吸も浅くなり、音が小さくこもってしまいます。
弾く前に「背すじをスッと伸ばす」と意識するだけで音が変わります。
腰や肩に負担をかけない
腰や肩に力を入れたまま弾くと、すぐに疲れたり痛みが出たりします。イスの前の方に軽く腰かけて、肩をストンと落としてから弾くと、体にやさしい姿勢になります。
手首をかたくしない
大人は指の力を使いすぎることが多いです。そのとき、手首もいっしょにかたまってしまいがちです。手首は「水にプカッと浮かんでいる」ようなイメージで、なめらかに動かせるようにしましょう。
疲れない工夫をする
大人は長い時間の練習をしてしまうことがあります。休憩をとらずに弾き続けると、体に負担がかかってしまいます。30分に一度は立ち上がって、肩や腕を軽く回したりストレッチをしたりすると、疲れにくくなります。
大人でも、姿勢を少し見直すだけで「音がきれいになった」「弾きやすくなった」と変化を感じられます。無理をせず、体をラクに使える姿勢を意識して、ピアノを楽しみましょう。
よくあるNG姿勢とそのデメリット

ピアノを弾くときに、ついやってしまいやすい「よくない姿勢」があります。こうした姿勢をそのままにしておくと、音がきれいに出なかったり、体を痛めてしまうこともあります。
どんな姿勢がよくないのか、見てみましょう。
前のめりになる
楽譜をのぞきこもうとして、体が前にかたむいてしまうことがあります。前のめりになると腕が自由に動かせず、肩や首がこってしまいます。
肩や腕に力を入れすぎる
「大きな音を出そう!」と思って肩や腕に力を入れると、指がかたくなってスムーズに動かなくなります。音もガチガチになり、やさしい音が出にくくなります。
猫背になる
背中が丸まる猫背は、息もしにくくなり、音がこもってしまいます。長い時間続けると腰や背中が痛くなることもあります。
指先だけで弾こうとする
指だけを動かして弾くと、すぐに疲れてしまいます。腕や手首もいっしょにやわらかく使うことで、軽やかに弾けるようになります。
このようなNG姿勢を直すだけで、音がもっときれいに出て、体も楽になります。練習のときには「今の姿勢は大丈夫かな?」と、ときどきチェックしてみましょう。
正しい姿勢で弾けるようになるコツ
「正しい姿勢が大事なのは分かっているけど、いつも気がついたら猫背になってる…」ということはありませんか? ちょっとした工夫をするだけで、正しい姿勢を続けやすくなります。
練習前にチェックする
ピアノを弾く前に、「背すじまっすぐ!」「肩ストン!」と声に出してチェックしましょう。毎日の習慣にすると、自然と正しい姿勢が身についていきます。
簡単なストレッチをする
練習の前に肩を回したり、腕を軽くのばしたりすると、体の力がぬけて弾きやすくなります。短い時間でもOKです。
力をぬいて音を出す
大きな音を出したいときでも、腕や肩に力を入れすぎないように気をつけます。指や腕を「軽くのせる」ようにすると、びっくりするくらいきれいな音が出ます。
休けいをとる
ずっと同じ姿勢で弾いていると、どんなに正しい姿勢でも体がつかれてきます。30分に1回くらいはピアノからはなれて、体を動かしましょう。
この4つを意識するだけで、「正しい姿勢」を長く続けられるようになります。ピアノを弾くことがもっと楽しく、もっと気持ちよくなりますよ。
まとめ
ピアノを上手に弾くためには、指の動かし方だけでなく 姿勢 がとても大切です。
- 背すじをまっすぐにして、肩の力をぬく
- 椅子の高さや座る場所を整える
- 足をしっかりつけて体を安定させる
- 子どもは足台やクッションを使う
- 大人も猫背や力の入れすぎに気をつける
こうしたことを意識するだけで、音がもっときれいになり、体も疲れにくくなります。
姿勢が整えば、ピアノを弾くのが今まで以上に楽しくなります。毎日の練習の中で「今日の姿勢はどうかな?」と確認しながら、少しずつよい習慣を身につけていきましょう。